鳥獣保護センターから③

鳥獣保護センターでは、交通事故にあってケガをしたり、親を失ったりした野生動物の赤ちゃんを救護することがあります。
鳥類がほとんどで哺乳類は少ないのですが、その中でもよくお預かりするのがタヌキの赤ちゃんです。
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生まれてしばらくは毛の色が真っ黒なので、ツキノワグマの赤ちゃんと勘違いされる方もおられます。

身近な動物であり、人家の床下・納屋などでも子育てをしたりすることから人の目につくことが多いようで、毎年何頭かは救護の依頼を受けます。

この赤ちゃんタヌキたちは、人工のミルクを与え大きく育てたのちに自然に返しているのですが、
「人が育てた野生動物はその後ちゃんと自然界で生きられるのですか?」と質問されることがあります。

たしかに・・

これは実際に救護の現場にいる私たちスタッフも一番気になっていることなのです。

人が育てるとどうしても慣れすぎたり、野生での生きていくすべを満足に学べないまま、野に放つ日をむかえてしまいます。
体の大きさだけは一人前でも、世間知らずのこの若タヌキたちがどのくらい自然界で生きられるのか。
それが少しでもわかるなら・・・と、今期救護された2個体に発信機をつけて放してみることにしました。
発信機の出す電波を追跡すれば、今どの辺にいるか、おおよその場所を特定することが可能です。
また、昨日と今日とで場所が変われば生きているという証拠にもなります。
きちんとデータを蓄積することができれば、今後の救護活動の上でもとても重要な記録になると考えています。

今回、発信機をつけるのは、
6月16日に改装工事中の工場の中で発見され、親が戻ってこないという理由で救護された♂と、7月27日にネズミ捕り用の粘着シートにくっついて衰弱しきっていたところを救護された♂の2頭にしました。
同じくらいの大きさだったこともあり、乳離れしたあと2頭は一緒に屋外の野化訓練場で生活させていました。

秋も深まってきた10月28日。
冬毛も生え、体も十分大きくなったので首輪式の発信機を付けました。
同時に身体測定もしたところ、6月16日にセンターで引き取った時は目がやっと開いたほどの日齢で体重215gだった個体が5kgを超えるほどまでに大きくなっていました。もう1頭のネズミ捕りの糊がくっついてベタベタで体重507gだった個体も3.5kgにまで成長していました。
大きい方には青い発信機を。
小柄な方には黄色の発信機をつけました。
2つの発信機は発する電波の周波数が違っているのでそれぞれを追跡することができます。
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11月5日。
首に発信機がついている状況にもなれたようなので、いよいよ放野することにしました。
野化訓練場の扉を開けておくと、2頭ともその日のうちに外の世界に出ていきました。

2日間ほどはねいの里周辺にいたのですが、その後2頭はそれぞれ別々の地域に分散したようでした。

しかし、調査開始からわずか5日。
残念ながら青い発信機の電波は11月9日を最後にはやくもプッツリと受信できなくなってしまいました。
交通事故など発信機が壊れるほどの衝撃をうけて死亡したのか、はたまたただの発信機の不具合かもしれませんが、現在も電波をとることができていません。
すぐに死亡することも想定内ではありましたが、死体を見たわけでもないのでなんとなくまだ納得のいかない悶々とした状態が続いています。

ただ、もう1頭の黄色い発信機の個体は今も生きて近くの山で生活しているようです。
調査に行き、強い電波を受信できたときはホッとしています。
しかし、電波だけでは、元気なのかどうかまではわからないので、強い電波がとれた近くで自動撮影カメラも仕掛けてみました。
すると、1か月以上たったにも関わらず、みすぼらしくなることもなく元気そうにしている姿が映りました。
暖冬も幸いしているのかもしれません。

しかも、ほかのタヌキと一緒にいることもあります。
彼女ができたのかな?とつい期待がふくらんでしまいます。

人間の育てた野生動物でも、自然界で同種の伴侶を得て、子孫を増やすことができるということがわかれば私たちのしている野生動物の救護という仕事も少しは意味があるのかもしれません。

今後も調査を続け、また新しいことがわかれば情報を発信していきたいとおもいますのでお楽しみに。
明るいニュースをお伝えできることをいのりつつ・・・(>人<)
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